啐啄同時

先月、仕事で佐賀県に出張した時のこと。
とある企業さんを訪問した際、プロジェクトに励む息子さまの仕事振りを一歩引いて見守り、
息子さんから相談された時に、口を開く社長さんの姿を拝見しました。

その光景で思い出した言葉があります。
啐啄同時(そったくどうじ)という言葉です。

雛鳥が卵の殻を内側からつつく事を「啐」といい、
親鳥が外側から卵の殻をつつく事を「啄」といいます。

これらがタイミングよく行われて、雛鳥が殻を破って産まれることができる、
絶妙な機会を「啐啄同時」と言います。
茶道を習い始めた初期の頃、先生に教わりました。
”導く者と成長する者の関係で良く使われる禅語”だそうです。

わたくし事ですが、先月一歳年を重ねました。
少しばかり振り返ると、今まで成長するための”機会”を周りの方々から沢山与えて貰いました。
そのお陰で今があるのだと、そう考えられる様になったのもここ最近でしょうか。

次は、機会を与える番だと思っています。
「啐啄同時」の言葉にあやかると、
相手の心の準備にあわせた絶妙なタイミングを察し、学べる機会を与えること。

最近は、おごる気持ちも、若気の至りだったんだな…
と、過去の自分が可笑しく思える時もあります。
一つ年を重ねた証拠なんでしょう。

息子に全面的に仕事を任せながら、責任重大なところについては父親が担う姿。
そんな温かい連携プレーを目の当たりにしながら、思い返した言葉。「啐啄同時」
人の内側にあるしっとりとした部分を垣間見れた佐賀出張でした。